トピックハラメモ

育て、巣立たせる。そのために……(前編)

yokatetsuo

いつものように先生のデスクへと取材に行くと、男性スタッフが1人。先生に怒られているのか、褒められているのか……。そこから今回は、原哲夫流の教育論を前編・後編にわたってお届けします。

ポイントは「○○ゾーン」

ーーセンセー、こんにち……あれ、スタッフとの打合せ中ですか?

原:あ、うん。いま、彼の絵をチェックしていたんだよ。

このサイトをご覧のみなさまならもうお分かりだと思いますが、原先生のスタジオには、とてもたくさんのスタッフが働いています。普段から彼、彼女たちとともに作品作りに精を出し、場合によっては立派な作家へと育てあげるのも、先生の大切なお仕事なのです。

原:しかし、人材の育成っていうのは、本当に難しいね。

ーー先生でも、まだ分からないものなんですか?

原:うん。若いスタッフたちをどうやって伸ばしていくかを勉強しているんだけど、勉強すればするほど、分からなくなる。そもそも、人間には「コンフォート・ゾーン」っていうのがあるんだって。

ーーコ、コンフォ、、、コン??

原:コンフォートゾーン。例えば「自分は60点の人間だ」って思っていると、無意識のうちに、そこにいるのが、気持よくなっちゃう。100点より、60点の方がいいと思っちゃうんだ。

ーー低い点数なのに??

原:そうなんだ。僕も『北斗の拳』を描いていた頃、あったよ。編集部の偉い人から、たまに絵を褒められることがあってね。「原くん、今回はすごくいいじゃん!」みたいに。そうすると、次は描けなくなるんだ。

ーー先生にも、そんな経験があったんですね。

原:うん。うちのスタッフだってそうだよ。時にすごく良い絵を描くことがあるから僕も褒めるんだけど、そうすると、だいたい次はダメになる。

誰かに褒められた後、なぜか次にやると同じようによい結果が出ない……。誰にだって、経験があるかも知れません。

原:それってなんで? って思っていたんだけど、ある人の講演でコンフォート・ゾーンのことを知って納得がいったんだ。つまり、60点に慣れている人が、たまに90点とかをとっちゃうでしょ? もちろん「嬉しい!」って思うんだけど、次は30点くらいをとって、無意識のうちに平均をとろうとするような習性が人間にはあるんだって。その人にとっては、60点がもっとも居心地のいい場所だから。

ーーそういうことなんですね! ん〜、今日の先生はいつにも増して説得力がある!!

ということで、今回はここまで。次回は、原先生が具体的に、どのようにスタッフを育てているのか、その実践法に迫ります! 乞うご期待!!