トピック先生、ひと言いいですか

Vol.3 活版部門 / 人物線画担当 辻秀輝(つじひでき)中編

Vol.2 活版部門 / 人物線画担当 辻秀輝(つじひでき)中編

原哲夫と共に働くたくさんのスタッフを、抜き打ちでチョクゲキ!! 普段は見ることのできない原哲夫の素顔や、仕事のこぼれ話を大バクロするこのコーナー。3回目の今回、登場していただいたのは、活版部門・人物線画担当の辻秀輝さんです。

某有名美術大学を卒業したエリート、、、と思いきや、この業界に入ったのは30を過ぎてから、という異色の経歴を持つ辻さん。何に迷い、何を見据え、原作品に携わっているのか。激白、ヨロシク!!

あの大人気ゆるキャラのような表情!?
ボクがいま担当しているのは、人物の線画。先生のペンがある程度はいっているモノであれば、それをベースにして、線を整えたり、補正をしていく工程です。ただ、ほとんど線の入っていない状態の時もあるので、その場合は、自分でデッサンしなおして、線を描いていかないといけません。もちろん先生が過去に描かれた作品を参考にしていきますけどね。

いわゆる“先生っぽい絵”っていうのは、すでに先生がたくさん描かれているので、参考にできる絵も多いし、イメージも掴みやすいんです。ただ、時々イレギュラーで、まったく新しい表情を要求されることもあるんで、その時の方が難しいですよね。最近も、連載中の『いくさの子』に登場する「犬丸」というキャラクターを「ふなっしーみたいな表情で!」って言われて。それは……迷いました(笑)。

辻秀輝(つじひでき)

だから、ココに来たばかりの頃は、「ここ、どうやって描いたらいいのか、ぜんぜん分からない……」なんてこともありましたね。あっ、でもそれは今でもあるか……(苦笑)。でも数は減っていますよ。
繊細さと大胆さ。空想とリアリティ。絶妙なバランスを追い求めて……。
先生の作風は、繊細だけど、力強くて大胆。絶妙なバランスだと思います。“作家の性格が作品に出る”と言われる世界なので、先生自身が、そういう人格の持ち主なのかもしれません。だから、マネをしようとしても、なかなかできるものではないですね。細い線を描きつつ、いきなり筆でバァってベタを塗ったり。と思ったら、眉をほんの少しだけ細めることで、まぶたに表情をつけたり。線の位置などは、ミリ単位の指示がきます。

また、空想とリアリティのバランスもすごいですよね。先生はよく「無いものを有るように描きなさい」と言われますが、例えば、『いくさの子』を描くにあたって、現存している資料なんて、そこまでないわけです。その中で、織田信長がどういう服を着ているかを、原先生の作品としてのテイストを考慮しつつ、あたかも本当に着ていたと思わせるために、創作的な衣装デザインを施す必要があります。とはいえ、完全なおとぎ話でもないので、まったくリアリティがないモノもダメ。その辺のバランスはとても難しいですよね。

辻秀輝(つじひでき)

さらに、キャラクターへのこだわりもすごい。「1コマしか出てこないキャラクターでも、そのキャラの人生や、他の場面での活躍を見てみたくなるように」とか、「キャラクター1人1人に魂を込めるように」といったことを教えていただけます。まだまだ勉強の途中ですね。
(後編につづく)