トピック先生、ひと言いいですか

Vol.15 仕上げ・デジタル部門 玄さん 中編

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原哲夫と共に働くたくさんのスタッフを、抜き打ちでチョクゲキ!! 普段は見ることのできない原哲夫の素顔や、仕事のこぼれ話を大バクロするこのコーナー。
2017年一発目となる今回は、社歴5年の中堅スタッフ、仕上げ部門の玄(げん)さんの登場です。

小学5年生から大学卒業までを韓国で過ごしたという在日韓国人の玄さん。時代やお国柄の壁を目の当たりにし、それでも「漫画を描きたい」という熱い思いで走り続ける彼がたどり着いたこの世界はどんな風に映っているのでしょうか。「2017年が勝負の年」と語る35歳の言葉は重さがあります。

大役の初仕事は、まさかの事態に!?
入社後すぐの仕事が、日本人スタッフと韓国人スタッフのもめごとの仲裁でした。いわゆる男女関係のもつれ的な話だったですけど、先生に呼び出されて「間に入って、うまく収めてもらいたい」って言われたんです。あの時は、すごく張り切りましたよ。

まず女性の方から事情を聞きました。するとその翌日、先生が僕の席まできて、すぐ横に椅子をドンと置いて「君、なんで女性と話をしてんの?」ってすごい剣幕で言うんです。背筋が凍る思いで、ひたすら「すみません」を連発して……。先生の狙いは「女性に迷惑がかかるから、男性を諭してね」ってことだったみたいです。あれは大失敗でした(苦笑)

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あと僕は、なかなか先生に名前を覚えていただけなくて……。前任の通訳が「ホンさん」という方なんですけど、その人とよく間違われます(笑)。「君はホンさんだっけ?」「いえ、玄です」ってやりとりを何度もやっているんですよ。最近では、 「もういっそ、ホンっていう名前になろうかな」って思いはじめました(笑)
首の皮一枚つながって、今へといたる。
先生と韓国人スタッフが気持ちよく仕事をできるようにすること。それがこのスタジオでの最初の僕の仕事でした。でもその後、韓国人スタッフがすべて辞めてしまって……。あの時は「あっ、終わったな」って思いました(笑)

ただ編集部の方に「ここまでやって来たんだから、もう少しやってみないか」と言ってもらえたんです。首の皮一枚つながって、また絵の勉強ができる環境をいただけました。少しずつですが、他のスタッフにもついていけるようになってきたと思います。持ち込み時代を含め、とても長かったですが、やっと絵で認めてもらえるようになりました。

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今までいろいろな人に自分の漫画を見てもらいましたが、ただ単に「絵が下手」としか言われませんでした。でもここで初めて「お前はちゃんと物をみて描かなきゃダメだよ」って言われたんです。つまり観察が足りない、形をつかめてないってことだったんですね。昔は理解できなかったダメ出しも「そういうことか」って思えるようになりましたね。
(後編につづく)